安静睡眠時の刺激応答性変化に関わるグリシンの中枢作用部位の検討を行った。Saline投与群で、投与前と同様にQS時の開口反射誘発閾値の有意な上昇を認めた。一方、グリシン投与群では、いずれの濃度においても安静睡眠時の開口反射誘発閾値が投与後の安静覚醒時と比較して有意に低下した。また、グリシン投与は睡眠潜時を短縮する傾向を認めたが、微小覚醒の発現率や睡眠時脳波の徐波分布には影響を与えなかった。術後性障害は睡眠障害のみならず、睡眠中の顎運動活性にも一過性の可塑性変化を与えることが示された。三叉神経運動核顎二腹筋領域のグリシン受容体が睡眠時の顎運動活性の調節に積極的に関与していることも示された。
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