研究課題/領域番号 |
26870548
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
宇野 耕司 目白大学, 人間学部, 専任講師 (60707735)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 0歳児 / 親 / 仲間 / 育児不安 / 虐待予防 / 子育て支援 / プログラム / プログラム評価 |
研究実績の概要 |
本研究は,市の子育て支援事業に委託され,育児不安や育児負担感の低減,育児スキルの向上,パートナーとの関係性の見直し,そして仲間作りを目指した0歳児(2~3か月)を持つ親支援プログラム(「新米ママと赤ちゃんの会」プログラム:以下,本プログラムとする)を,CD-TEP法に基づいたプログラム評価アプローチを用いて,科学的根拠に基づく効果的なプログラムモデルへと発展・構築していく。また,効果的プログラムモデルの普及の基盤となる実施者研修体制の開発も行う。 実施に際して5つのフェーズに分けている。今年度は,第Ⅰフェーズの「新米ママと赤ちゃんの会」プログラム開発と試行を実施した。まず,「既存モデルの評価可能性アセスメント」を行った。先行研究レビューによって既存関連有効モデルの分析,ニーズ分析を行った結果,本プログラムは初めて0歳児をもつ母親の育児不安の軽減や仲間作りに特化しうることが整理できた。次に,予備的プログラム評価を実施した(清瀬市・東久留米市)。プログラム利用者303名(30クール)のうち184名のデータを分析した。その結果,プログラムゴールに関わるアウトカム指標がデータに基づいて明らかにできた。 また, 第Ⅱフェーズとして,CD-TEP法に基づく暫定効果モデルの構築を目ざした。研究者や実践家などが参加する「実務者レベルの検討会」を4回開催し,プログラム理論の構築(インパクト理論・プロセス理論),アウトカム指標の設定と活用計画,アウトカム評価調査の実施と結果の活用,などを検討した。しかし,効果的援助要素リストの作成,実施マニュアルの開発までには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,第Ⅱフェーズまでを予定していた。しかし,第Ⅱフェーズの一部については未だ達成できていない。 ただ,この遅れは第Ⅲフェーズの「新米ママと赤ちゃんの会」プログラムの実施と試行的効果評価を行いながら,効果的援助要素の抽出とフィデリティ尺度の開発を行うことによって挽回可能である。 また,プログラムは途切れることなく続けられている。実践家との協働体制が維持されていることから,プログラム実施上の困難は生じなかった。平成27年度も問題なくプログラムを実施し,データを収集を確実にすることができる。また,実践家が集まって検討する機会を定期的に設ける(8回程度)。これによって,研究の進捗を管理し,計画通りに進めることができるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき平成27年度は,第Ⅲフェーズの「新米ママと赤ちゃんの会」プログラムの実施と試行的効果評価を行う。 同時に,第Ⅱフェーズでやり残している課題を達成する。8月中に,効果的援助要素の抽出とフィデリティ尺度の作成を行う。 9月には平成28年度に計画している「新米ママと赤ちゃんの会」プログラム実施の成果と効果評価フェーズ(第Ⅳフェーズ)を実施するための倫理審査の準備を行い,11月には,本プログラムの比較対象となるプログラムを実施している団体に研究への参加を打診する。打診予定先は東村山市,品川区を予定している。 平成27年9月末と平成28年3月末には試行的効果評価の結果をまとめ,アウトカム指標の確定を行う。その過程で,プログラム理論に変更が必要な場合は,実践家参画型評価の手法を用いて,研究者と実践家と利用者の協働作業によってプログラム理論を再構築する(11月頃)。ただし,プログラム理論は微修正にとどまるだろう。 以上の計画を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
プログラム実施にかかる費用は予定通りであったが,学会等での発表回数が少なく,旅費等に係る経費を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
プログラム実施回数を計画よりも増やすことができる。それによって,さらに多くのデータを収集できる。 アウトカム指標として必要な有料の質問紙(GHQ)の購入に充てることができる。 また,検討会の議事録のテープ起こしなどの委託費に使用できる。
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