経済時系列データなどはときに極端な値を取ることがあり、正規分布などに代表される裾の軽い分布をもとにしたモデリングでは不十分であることが指摘されている。実データへの十分なフィッティングという意味においても、裾の重い分布を用いたモデリングには意味がある。また、本研究では方向統計学において時系列解析の要素を盛り込んだモデリングを構築したり、時系列解析で用いられているスペクトル密度関数から方向データの密度関数を提案したりした。これらは「方向統計学」と「時系列解析」という、独立して発展してきた両分野をつなぐ仕事であり、十分な学術的意義があると思われる。
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