本研究では,培養細胞とモデル動物を用いて,ストレッチと熱刺激の併用がステロイド投与に伴う筋萎縮に及ぼす影響を検討した。その結果,熱刺激はステロイド投与によって生じるタンパク質分解に関わる情報伝達経路の活性化と,タンパク質合成に関わる情報伝達経路の不活性化を抑制(正常化)し,筋萎縮の進行を抑制する可能性が示唆された。また,ストレッチはタンパク質合成に関わる情報伝達経路を活性化させ,筋肥大を引き起こす可能性が示唆された。したがって,熱刺激とストレッチを併用した治療戦略は,ステロイド投与によって生じる筋萎縮に対して有効に作用すると推察される。
|