本研究は分子コシャペロンFK506 binding protein 5 (FKBP5)が神経変性疾患における「細胞内凝集促進因子」である可能性について検討した。アルツハイマー病モデルマウス脳内においてFKBP5を過剰発現した結果、微小管結合タンパク質タウについて(1)タンパク質量の増加、(2)リン酸化の亢進、(3)神経細胞内での異所性局在を引き起こすことが明らかとなった。一方、タウの細胞内凝集形成については観察されなかった。したがって、FKBP5はアルツハイマー病においてタウの細胞内凝集形成の促進には寄与しないが、その病理メカニズムを修飾する可能性が示された。
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