研究課題/領域番号 |
26870927
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研究機関 | 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 |
研究代表者 |
赤澤 正人 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, その他部局等, 主任研究員 (00718364)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アルコール関連問題 / 飲酒 / 自助グループ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アルコール関連問題の予防と低減に向けて、酒類メーカーに期待される役割や方向性を含めて、効果的な介入策を検討することである。 平成26年度は、アルコール健康障害対策基本法の認知および、不適切な飲酒による障害に対する認識について予備的データを収集する目的で、対人援助の活動に従事する63名の協力を得て質問紙調査を実施した。その結果、平成26年6月に施行された基本法の認知度は23.8%であった。また対人援助に関わる資格の有無別で見た認知度では、資格を持つ援助職で50%、資格を持たない援助職で11.6%であり、有意差が認められた。不適切な飲酒による障害に対するイメージでは、「責任は本人にある」「飲酒そのものが悪いことではない」が49.2%、「医療を含めた支援体制が不十分」が38.1%、「罰則を強化すべき」が19.0%、「酒類の販売や広告を規制すべき」が12.7%であった。資格の有無別で見ると、「医療を含めた支援体制が不十分」は、資格を持つ援助職において回答割合が高く、「責任は本人にある」「罰則を強化すべき」は、資格を持たない援助職において回答割合が高かった。これらの結果から、今後もアルコール関連問題の適切な知識と予防に関する啓発を推進していくことの重要性が示唆された。また、罰則や酒類メーカーに関係する規制の強化を望む割合は高いとは言えず、それらがアルコール関連問題の予防となりうるのかどうかを慎重に検討していく必要があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、平成26年度に酒類メーカー関係者に対して、アルコール関連問題対策においてどのような役割を果たしているのか、今後どのような役割を果たすことができるのかその可能性等について面接調査を実施する予定であったが、アルコール健康障害対策基本法が施行された中で、関係機関の業務が多忙を極めており、その中で調査への協力を依頼することは適切ではないことが分かった。しかしながら、当初計画が停滞した場合の対応案として検討していた質問紙調査によって、アルコール関連問題が社会の中でどのように認識されているのかを予備的に検討することができた。したがって、当初の計画よりも「やや遅れている」状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はWebによるアンケート調査を行い、アルコール関連問題の予防のために酒類メーカーに期待する役割や必要な取り組みについて、各属性や飲酒習慣や酒害経験の有無別等との関連を検討する予定である。この調査により、アルコール関連問題への社会的認識や対策を円滑にかつ広域的に進める上での課題が明確になると考えられる。また、自助グループ、酒類メーカー等への研究協力依頼および情報共有を継続して行い、次年度調査に向けての基盤づくりを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた面接調査から、計画が停滞した場合の対応案として検討していた質問紙調査を実施することとなり、その必要に応じて研究費を執行したため次年度に使用する研究費が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費とあわせて、調査実施に際しての各委託費、関係機関との情報収集や学会発表参加費用などに使用する予定である。
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