研究課題/領域番号 |
26885036
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐野 智也 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 研究員 (30419428)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 民法の立法沿革 / 立法資料 / 比較法 / 外国法令 / データベース / 情報基盤 / 私文書 |
研究実績の概要 |
本研究は、民法起草時に参照された外国法令に関する情報を探索・収集し、日本民法典の条文と参照された各国の条文の相互関係を明らかにすることを目的とする。平成26年度は、(1)『民法第一議案』の参照情報の整理を行って参照されている外国法令の一覧を作成し、(2)外国法令及びその和訳の探索・収集と一部のテキスト化をおこなった。 (1)について、参照した国・地域と外国法令の名称を網羅的に整理し、登場する国・地域は34ヶ所、法令名は、さしあたり136種類に整理することができた。また、この整理により、各国の参照回数も明らかにすることができた。以上の結果については、論文に掲載し、研究会での報告もおこなった。 (2)について、欧文資料については、全119法令中(法令を特定し表記ゆれなどを整理した結果、上記よりも数が減少した)113法令を特定した。この内の105法令については、Web上で閲覧できる資料を特定した。さらに、Web上で閲覧できる資料の内、82法令については、テキスト化を終了した。参照外国法令に含まれている法令は、ほとんど知られていない法令も少なくない。これらを特定することは困難であるが、その内のいくつかについては、海外の研究者と情報交換することで見つけることができた。 和訳資料については、和訳されているものが限られていることがわかってきた。外国法令の和訳として公刊されているものは、フランス・イタリア・ドイツの主要法典と、アントワーヌ・ド・サンジョセフ著"Concordance entre les codes civils etrangers et le Code Napoleon" からいくつかの国を取り上げて翻訳した書籍群がある。また、私文書には、穂積陳重文書にドイツ語圏の法令を対比した和文資料と、梅謙次郎文書に英語圏の法令を和訳した資料が部分的に存在していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は、採択後の研究期間が半年程度しかないため、参照されている外国法令の表記一覧を作成した上で、探索・収集による実際の外国法令の特定とテキスト化は、一部のみに留まるという計画であった。しかし、全119法令中113法令を特定し、82法令については、テキスト化を終えることができた。また、参照関係の全体像がほぼ特定されたことにより、データベースの設計にも着手している。以上の点を踏まえると、「当初の計画以上に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、参照外国法令を閲覧・分析するためのデータベースを構築し、さらにこのデータベースを用いて、参照関係の考察をおこなう。 データベースは、①原案から外国法令の内容を参照する、②外国法側から被参照関係を閲覧する、③条件を指定して参照回数を検索する、という三つの機能を盛りこむ。これらの機能が求められていることは、本研究の報告の際の質疑応答でも明らかであった。 また、データベースの作成と平行して、未特定の外国法令の調査をおこなう。外国法令のテキスト化も、本研究の予算の範囲内で可能な限り進めることにする。 参照関係の考察については、データベース構築の報告とともに、論文掲載と学会での報告を予定している。
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