本研究の目的は、ガバナンスのルールをめぐって市民社会内部でどのような正統性争いが生じているのかを解明することにある。この目的のもと特定非営利活動促進法(NPO法)の立法運動に着目し、中央/地方の両面から実証的な検討を行った。分析の結果、NPO法制定期では中央で分野間の連携が形成されたこと、NPO法改正期においては中央の立法運動が与野党に合わせた継続的なロビイングを実施することで正統性を高めたこと、地方から中央への「集団丸ごと加入」や中央から地方への知識の伝播を通じて運動の中央-地方連携がなされたこと、他方でNPO法の履行段階では中央-地方の間で利害の不一致も生じていたことなどが明らかになった。
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