本研究の目的は、(1)分布の補正方法の検証、(2)等価尺度の推計、(3)不況下における世帯消費構造の変動を実証的に検証することである。 1990年代からの経済停滞や労働市場の悪化等を背景に、貧困・格差の問題が顕在化し、公的な調査統計を利用した、実証研究が蓄積されてきた。 しかし、世帯に調査票を配布して集計するサーベイデータは、アンダーリポートの問題を内在しており、分析結果に無視できない影響を与える可能性がある。そのため、特に消費支出に関するデータは、補正する必要がある。 そこで研究第2年目は、先行研究レビューから分布の補正方法を検討した。その結果、個人・世帯を対象としたサーベイデータをSNAと比較すると、外食費など特定の費目がアンダーリポートとなっている割合が高いことが分かった。また、世帯構成等によってもアンダーリポートの割合は異なっており、世帯構成別消費項目別に補正する必要があることが示唆された。
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