本研究では、(1)分布補正方法の検証と(2)所得によって消費パターンの状況がどのように異なるか観察した。1990年代以降の経済的停滞と労働市場の悪化等の影響から、日本においても貧困・格差問題が顕在化し、貧困・格差研究の蓄積も進んでいる。しかしながら、貧困・格差を分析するにあたっては、2つの技術的な課題が指摘されている。第1点目は、推計に用いる分布の補正である。第2の課題は、世帯・個人のウェル・ビーイングの状況は、所得・消費から測った貧困・格差指標だけでは見えづらいため、世帯の消費パターンにも着目する必要がある。
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