研究課題/領域番号 |
26890025
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
本庄 賢 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 博士研究員 (50731866)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 侵害受容 |
研究実績の概要 |
BMP シグナルの亢進により増強する侵害受容ニューロンの神経生理機能の解明を行うために、ショウジョウバエ侵害受容ニューロンにおける神経活動イメージングのセットアップを行った。これまでに確立した神経活動イメージングでは、温度上昇時の神経活動のみしか観察できなかったが、新たにセットアップしたイメージングの実験系では異なる刺激装置の利用により、温度下降時の神経活動についても安定して観察可能となった。この新たなイメージング実験系と蛍光カルシウムセンサーGCaMP6を利用し、侵害受容ニューロンの温度刺激に対する反応を観察したところ、これまでに明らかになっていない侵害受容ニューロンの新しい温度反応特性が見出された。この温度反応特性の発見は予想外であり、今後はこの温度反応特性を考慮に加えたうえで、BMPシグナル亢進によって生じる神経生理機能変化についての実験を進めていく予定である。 シナプス伝達を可視化できる蛍光センサーのSynapto-pHluorinを利用したイメージングの実験も実施したが、蛍光変化量がGCaMP6に比べて小さく、実験中のサンプルの動きなどで生じる蛍光変化のノイズとの区別が難しいことがわかった。より微小な蛍光変化を定量的に解析するために、レファレンス用の別の蛍光タンパクを導入するなどの改良を検討中である。 TRAP法に用いる、GFP結合RPL10Aを侵害受容ニューロン特異的に発現する系統を作成した。今後はこの系統を利用して、TRAP法の検討とRNA-seq解析のためのサンプル作成を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、神経活動イメージングの実験のセットアップに成功した。また神経活動イメージングの実験において、これまでに報告がないショウジョウバエ侵害受容ニューロンの新たな温度反応特性を見出した。この予想外の発見の影響もあり、本年度は当初の予定に比べて神経活動イメージングの実験に割いた時間の割合が多くなったものの、おおむね計画通りに進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度から申請者の所属が国立遺伝学研究所から筑波大学へと変更になったことをうけ、本研究課題を実施するための研究環境にも大きな変更が生じた。これに伴い、これまで利用する予定であった、イメージング実験用の高速共焦点レーザー顕微鏡や、RNA-seq解析用の次世代シークエンサーなどの利用計画を見直す必要が生じている。現在筑波大学で利用可能な機器について調査を行っているが、もし筑波大学の機器で計画実施が困難な場合には、これまで利用予定であった遺伝学研究所の機器を用いて引き続き実験を行うことも考えている。遺伝学研究所の機器を利用することにあたっては、機器管理の担当者などに内諾を得ているため、大きな支障はないものと考えている。
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