生物の体内の組織・器官形態の形成、維持、および修復は、組織・器官を構成している細胞集団が制御され、適切に移動することでなされており、そのメカニズム解明は生物学的に重要な課題である。本研究ではモデル動物の胚性表皮における創傷治癒機構に着目し、創傷を閉鎖する細胞集団を制御するメカニズムを探索した。胚性表皮の創傷は創傷辺縁に蓄積する細胞骨格アクチンとミオシンにより成体よりも迅速に閉鎖される。今回、アクチン・ミオシンの機能には細胞骨格セプチンが必要であることが新たに判明した。セプチンはアクチン・ミオシンの動態を介して各細胞の形態変化や移動を制御し、細胞集団の協調的な動態に貢献していると考えられる。
|