本研究の目的は、看護学生の主体的な学習を支援するための手がかりを得るため、看護大学生の自己調整学習方略(努力調整方略・メタ認知的方略・認知的方略)の使用頻度を明らかにすること、及びメタ認知的方略(学習の計画を立て、進み具合をチェックし、結果を評価するなどの学習を円滑に進める機能がある)の使用頻度が高い学生の、学習における行動特性を明らかにすることである。 看護大学生1~4年生395名に自己調整学習方略の使用頻度を問う自記式質問紙調査を実施した。学年での自己調整学習方略得点の差を、一元配置分散分析(TukeyのHSD法による多重比較)で検討した結果、1年生は2年生より努力調整方略の使用頻度が高いことが明らかとなった。 次に、メタ認知的方略の使用頻度を高める教育方法を検討するための示唆を得るため、メタ認知的方略得点が平均点より高い学生のうち、同意が得られた5名を対象に「学習における工夫している点や注意している点」に関する半構成的面接を実施した。その結果、「学習のために、空いた時間を有効活用する」/「学習内容を忘れないうちにすぐに取り組む」といった、学習を開始する前に【学習時間の活用方法】を意識していた。また、「教員の話した内容が、後でイメージできるようにノートを作る」/「専門用語の具体的な例を記入する」/「講義内容で不明な点が、後からわかるようにメモする」という、その後の学習が効率的に進むように【学習場面毎のメモの取り方】を意識していた。さらに、「学習が楽しいと思う」や「知識が増えていくことが楽しいと考える」、「普段出てくる疑問を、講義を聞くことで解消していく」という、【学習への興味】を意識するという、3つの意識を持って学習していることが明らかとなった。
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