合成コラーゲンにナノサイズアパタイト(n-HAP)を加えた複合体を調製,背部皮下における軟組織反応と頭蓋骨欠損部における硬組織反応および骨芽細胞接着の程度と骨系分化誘導能について検討を加えた.複合体は生体親和性に優れ,軟組織では早期から深部まで体液成分の侵入が活発で,コラーゲンの代謝活動が認められた.一方,硬組織欠損部では,ある程度の骨伝導能が確認された.3週培養分析の結果,骨芽細胞のアルカリフォスファターゼの発現を強く誘導することが明らかになった.骨シアロプロテインの発現は不定状であった.従って,合成コラーゲンは初期中期の骨系分化を誘導し,n-HAPの配合が骨伝導能を促進すると判断された.
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