研究分担者 |
濱口 恵俊 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (50030036)
杉万 俊夫 大阪大学, 人間科学部, 助手 (10135642)
三島 倫八 龍谷大学, 経営学部, 助教授 (50030044)
大村 英昭 大阪大学, 教養部, 教授 (30047485)
井上 俊 大阪大学, 人間科学部, 教授 (40025044)
HAMAGUCHI Eshun Assoc. Prof. of Fac. of Human Sciences, Osaka Univ. (60134970)
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研究概要 |
本研究は、日本人の基本的な価値観の構造的特性を実証することを目的にしている。それを、(1)社会的相互作用における対人関係観、(2)美的=道徳的価値意識、(3)健康=宗教に関する価値意識、(4)仕事〔勤労〕観、の各位相に関して、実験・調査によって分析することを意図とした。最終年度の61年にはすでに実施していた、各分担課題の合同調査票によるリサーチのフィールドワークの結果を集計・分析した。すなわち、60年度において、日本人の人間観・対人関係観の中核だと想定される「間人主義(contextualism)」およびそれとカウンターパートをなす「個人主義(individualism)」の測定尺度を作り、美的=道徳的価値意識,健康=宗教意識,仕事〔勤労〕観などを調べるいくつかの質問を加えて調査票を作成・印刷し、大阪・名古屋・平塚・東京・郡山の企業体28社の協力を得て、その社員約4,300名に配布し、有効集計票計3,833を回収することができた。61年度は、コーディング作業の終った調査票データを礎気テープに入力し、コンピューターを用いて、各質問項目の単純・クロス集計を行ない、一部のデーターについては、さらに統計学的な解析を加えた。(1)の人間観・対人関係観の分析では、企業体成員における「間人主義」と「個人主義」との併存性や両者間での位相動態が、数量化理論【III】類・因子分析などによって確認しえた。とくに地位の上昇に伴って両者の並存性が高まることが分かった。(2)(3)の健康=宗教観と、美的=道徳的価値意識に関しては、人生の規定要因として、運・〈つき〉・間柄・努力などが、また〈いき〉という行為の美意識が作用することが判明した。(4)の職場での仕事観については、予想どおり、会社へのコミットメントが大きく、ゼネラリスト志向、生活の場=協同の場としての職場観,能力重視の人事,助けあってゆく仕事,といった「間人主義」とも連関する考え方を支持する傾向が見いだされた。
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