研究概要 |
米の品質・食味向上について、調質問題を中心に貯蔵・精米加工面などから検討を加えた。その要点をまとめると次のようである。 1)適切な水分に調質した精白米は評価点が高くおいしい米になる。炊飯前の洗米及び浸漬時のクラックのはいり方と澱粉の溶出による影響と思われる。 2)水分による調質は加湿機又は高低水分粒の混合によるが、胴割れ発生を防止するためには加湿温度は25℃前後,速度は精白米で0.2%/h,玄米で0.3%/hが適当である。玄米はぬか層で粒内への水分浸入が緩和されるので、精白米よりやや高い値をとることができる。 3)加湿後の水分の高い玄米及び精白米は貯蔵性が低下するので、消費者に渡る直前(最終流通時)に実施し、夏期の長い貯蔵はさけるべきである。なお、低水分のものほど貯蔵性が高いので、水分の多い玄米は低温庫を利用する必要がある。 4)クリン米はぬか分がほぼ完全に除去されているので、脂肪分の分解と害虫発生がほとんどなく、夏の高温に対して貯蔵上有利である。また、容量減に伴う倉庫スペースの減少に役立つといえよう。 以上の結果を総括すると、水分15%を適値とする玄米貯蔵流通の方式から過乾燥のクリン米貯蔵方式に転換せしめ、最終流通時に調質を行つのが最も敵切といえよう。この方法は常温貯蔵においても病害虫の発生をおさえ、古米化を防止することができるので、米の品質・食味向上が可能となるばかりか、流通面においてもコストを低減することができる。 今後の問題としては、実施に移した場合の諸問題をコストエンジニアリングの見地から解明する必要がある。
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