研究概要 |
1. アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AspAT)の機能発現機構:(1)ブタ細胞質酵素(cAspAT)のcDNAをクローン化しこれを大腸菌で発現させる系を確立し, 基質特異性を決定する構造因子となり得るアミノ基末端欠失変異を系統的に作成中である. (2)既に発現系が確立した大腸菌AspATについては, 補酵素結合部位のアミノ酸置換を行い, Lys258(Ala,Met,His置換で約十万分の一の触媒活性を示す)の必須性を実証した. その他, Tyr225(Dhe:0.5%),Tyr70*(Phe:15%), Asp222(Ala:0.1%)など補酵素と直接相互作用する残基は, それぞれの役割を分担することを示した. (3)基質結合に関与するArg386(Lys:3%);Arg292(Leu,Ala:0.1%)では特に基質特異性の改変がみられた. (4)His143→Ala,Tyr225→Phe変異酵素を用い′H-NMRにて各残基プロトンシグナルを同定した. (5)〔4′-^<13>〕Cピリドキサールりん酸再構成cAspATを用い基礎データを得た. (6)ブタ・ミトコンドリアAspAT前駆体のシグナルシーケンスの部位特異的突然変異による系統的なアミノ酸置換によりアミノ基末端部の数残基がミトコンドリア移入に必須であり, 塩基性アミノ酸すべてが必須ではない事を示した. 2. アイソザイムの発現調節機構(1)マウス細胞質リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(cMDH)遺伝子の単離と構造解析(14Rb大,9エクソンと8イントロン, 51上流領域はGCに富み, CAAT, TATAボソフスがない)を明らかにした. この結果, AspATMDHアイソザイム4種のcDNA及び遺伝子DNAすべての単離と構造解析が完了した. (2)これらの遺伝子の5′上流領域を含む種々の長さのDNA断片をプラスミドpsv2neo由来のneo遺伝子と融合しNIH3T3細胞にトランスフェクション後, neo耐性の出現を指標にして, プロモーター活性をもつDNA領域を決定した. (3)この実験の過程で, cMDH遺伝子の5′上流2〜4rbの間に, プロモーター活性を増大させるDNA領域, 存在することを見出した.
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