研究概要 |
1.本研究の中心的活動である「戦後宗教史研究会」は、当事者へのインタヴューや聞き書き,分担者の報告,関連分野の研究者の講演の場として、11回開催し、16名の来会・報告者に及んだ。今年度は新たに、占領宗教政策の背後にあったアメリカ人の宗教観とその影響を明らかにすることを目指したが、彼らの信教自由論のもつキリスト教的意味と占領後の日本キリスト教化政策との密接な関連を把えることができた。また、これまでの占領研究で余り取上げられていなかった他の連合国,特にカナダの果した特殊な役割り、さらに、従来の戦後日本宗教史・近代日本宗教史研究において国家神道の概念が占領政策のそれを無反省に受容した実体のはっきりしない概念であったことなどが明らかになり、本研究の成果をまとめる上での新たな視座の形成に有意義な知見が得られた。 2.資・史料の収集は、国立国会図書館所蔵のSCAP/CIE文書の残り半数量を昨年度に引続き購入し、目録のデータベース化のための入力は創価大において完予した。さらに各目録内の収録文書名,情報の電算機への入力も開始した。さらにGHQ民政局文書,米国務省戦後計画委員会文書,ルーズベルト文書等も収集し、これらの体系的整理・分析を開始した。占領関係研究図書は昨年に続き30数冊購入したほか、日本政府,当時の教団側史料も収集・整理し、筑波大井門研究室で目録を完成した。 3.成果の取りまとめに必要な基本的資料は幾分そろったが、有益な日本側資料や証人が予想以上に少ないことが判明した。従って、アメリカ側の資料からそれを復元する必要も生じてきた。その意味で、まだ生存しているGHQ高官からの証言収録の重要性が明らかになったが、日本人の重要関係者の未公開日記等の収集・整理の重要性も明らかになり、関係者への交渉を開始した。
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