研究分担者 |
中江 太治 東海大学, 医学部, 教授 (50102851)
高田 春比古 大阪大学, 歯学部, 講師 (30135743)
川田 十三夫 徳島大学, 医学部, 教授 (60035368)
金政 泰弘 岡山大学, 医学部, 教授 (80330059)
加藤 慶二郎 岡山大学, 歯学部, 教授 (50028718)
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研究概要 |
三年間の研究により主として次のような成果が得られた. 定着因子:大腸菌, れい菌, コレラ菌等でそれぞれの定着因子が病原性との関連のもとに研究された. 線毛については, 分離精製と化学組成の解析がなされた. なかでもれい菌の線毛は, その遺伝子が大腸菌にクローニングされ, その構成タンパクの遺伝子の塩基配列が決定された. それによるとN末のアミノ酸の配列は, 大腸菌のもつ同じ構造の線毛と極めてよく類似している. 特定の構造の認められない定着因子では, その因子の検索が情力的に行われた. コレラ菌では, 細胞表層の血球凝集素が定着に関与している可能性が示された. ブドウ球菌では, 細胞壁タンパクが定着に関与している可能性が示唆され, その分析が進展した. 細胞表層物質と細胞の相互作用:細胞壁成分の持つ生理活性のうち, MDPにより前処理した動物でLpsの毒性が高まる現象が報告され, 今後Lpsの毒作用を理解するうえで, その作用機序の解明に期待が寄せられた. 歯周囲尖の病巣から分離されたActinobacillusの表層物質に対する抗体が患者の血清中存在することが見出され, 感染における役割が注目される結果であった. 侵入性と細胞表層:侵入性細菌である赤痢菌でプラスミドが規定している細胞表層物質を特定するため, 赤痢菌細胞表層に対するモノクローナル抗体が作製され, I相菌にのみ反応する抗体が得られた. 今後この菌の病原性の解析に有効に利用されていくものと思われる. 3年間の研究期間内に課題名に示される研究がかなり進展したと考えられる. 頭初の分担題目と異る研究成果を得たものもあるが, それらもこの班に入ってからの研究の方向が, 感染成立の機構に向いてきたものと考えられ, 短期間ではあったが, この班の持たれた意義は大きかったと考えている.
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