研究分担者 |
石本 剛一 三重大学, 医学部, 助教授 (30024673)
豊増 翼 帝京大学, 文学部, 教授
福島 弘文 信州大学, 医学部, 助教授 (70135218)
原田 勝二 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (60086618)
勾坂 馨 東北大学, 医学部, 教授 (70006740)
TOYOMASU Tasuku Prof. of Teikyo Univ. Institute of Litarature
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研究概要 |
3年間に亘り延べ16人が研究課題に沿った副題をテーマにそれぞれの専門的知識を生かして研究に当たった. 対象とした体液は血液を含め, 精液, 唾液, 汗にまで及び, 法医学的応用が可能なところまで進展した研究が散見される. そのうち, 汗の研究では, 汗特異蛋白の性状を明らかにし, 着衣などの斑痕から汗を同定できるまでになっている. また, 唾液や血清蛋白を指標として人獣鑑別を行う試みも実務への応用が期待出来そうである. 更に, 血清オルソムコイド型, 酵素型のGSTやALDH等の遺伝様式の判明なども親子鑑定への利用を考慮するに値する成果と考えられる. 加えて, GSTやALDHなどの酵素とアルコール性肝炎との関連性を明らかにした実績は, 臨床医学への貢献が極めて高いものと言える. 血液型に関連した研究では, H物質の唾液と血球の差, 唾液腺での分布状態の検索, Lewis a物質の定量的観察, 凝集反応によらない血液型判定法の開発などがあり, これらの基礎的な研究の進展は今後への道を大きく開いたものと言え, 法医学領域のみならず, 腫瘍組織の血液型物質分布の研究という臨床テーマとうまく合体できる可能性がある. また, 各種形質の遺伝子頻度の算出や新しい変異型の検出なども一連の研究の中でみられたことや, FGHが従来から研究対象となっているEsDと極めて類似した酵素であるという知見は非常に意義深い成績が得られたものと考えられる. 以上述べてきた様に, 各分担者は特意とする分野で3年間精力的に研究を進め充分満足のいく成果が得られたものと思う. しかし, 中には更に発展させて行うべきテーマもあり, また, ここ数年来急速に発展しつつある遺伝子工学的手法を加味した法医実務への応用も手がける必要が感じられる. 本研究班が行った内容を一層具体化する意味でも, これに類似した新たな研究班の組織は不可欠と考えられる.
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