研究課題/領域番号 |
60440036
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 大阪大学 (1985-1986, 1988) 東京工業大学 (1987) |
研究代表者 |
岡田 善雄 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (30029756)
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研究分担者 |
島 康文 大阪大学, 工学部, 助手 (50187423)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1988
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キーワード | HVJ / F / HANA / cDNA / 限定分解 / 毒性 |
研究概要 |
1.HVJの細胞融合活性を担う2種類の糖タンパク質であるFとHANAのcDNAの採取と、全塩基組成の決定が行われた。 2.cDNAを含むプラスミドを細胞に注入して、その発現が観察された。先ずSV40oriを含むプラスミドをCOS細胞に電気刺激で注入すると、充分量のF或はHANAの発現を見ることができた。COS細胞はプラスミドの増幅と共に次第に死減するため、一般の細胞を用いると、ほとんど発現が見られず、実験を先に進めることが不可能となった。このため、cDNAをアクチンプロモーターを含むプラスミドに組換え、一般の培養細胞での発現が検定された。現在のところ、確かに発現は見られるが、期待した発現量にいたらず、検討が引き続き行われている段階である。 3.HVJによる細胞相互の融合は、1ケのHVJ粒子の外膜が、2ケの細胞膜と同時に融合するために可能になるのではなくて、(1)HVJの糖タンパクによって、細胞膜に障害がおこり、(2)外部のCaイオンが細胞内に流入して細胞膜内タンパク粒子の細胞質側のドメインと、その裏打ち系との結合が解除され、(3)膜内タンパクが細胞膜脂質層を自由に動けるようになり、(4)膜内タンパク粒子の均一な分布がくずれ、(5)裸の脂質層が露出し、(6)その部位で融合がおこることが示された。この現象は、多分生体膜融合の典型的なモデルであろう。 4.HVJのFタンパクの活性化のためには、細胞内でF_0型で合成された分子がタンパク分解酵素でF_1とF_2に限定分解される必要がある。この限定分解を認識するアミノ酸配列とウイルスの毒性との相関がパラミクソ群で明らかなので、この知見を土台にして、ミクソウイルス、レトロウイルスの毒性の推定が行われた。
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