研究概要 |
1)不応性貧血としてrefractory anemia(RA)、3例、primary acquired sideroblastic anemia(RASA)1例、対照として健常人20例(男12例、女8例)について血清および赤血球フェリチンを測定した。 2)溶血液の作製は山田・斉藤ならびにCazzolaらの方法に従い、フェリチンはIRMA法(Spack Kit 第一ラジオアイソトープ社)およびR-PHA法(山之内製薬)を用いて同一検体について夫々を測定した。 3)健常人対照の赤血球フェリチン値はIRMA法で男20.7±9.7ag/cell、女11.1±5.5ag/cellで、男は女の約2倍であったが、R-PHA法で男24〜192ag/cell、女24〜192ag/cellで性差を認め難かった。 4)RA3例、PASAの赤血球フェリチンはIRMAvsR-PHAの測定で、RAの【◯!1】25才、男、19.7vs21.6、【◯!2】42才、男、218.8vs49.9、【◯!3】43才、男、126.7vs31.4、PASAの76才、男、550.5vs207.9で【◯!1】を除くとすべてR-PHAによる酸性フェリチンを示唆する値が塩基性よりも高かった。 5)以上の結果より、RA,PASAで赤血球フェリチンは酸性のアイソフェリチンであることが示唆された。骨髄赤血球についての成績はtentativeなものであるが、末梢赤血球の知見を示唆するものである。等電点分画、ConA Sepharoseによる検討では一定の成績を得るに至っていないが、傾向としては、RA,PASAで酸性アイソフェリチンの存在が示唆されつつあり、今後の研究結果にまちたい。 6)赤血球フェリチンの測定、分析は前白血病状態の診断に有用であることが示唆されつつある。
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