研究概要 |
目的:昭和60,61年度に完成した喉頭用超音波画像診断装置を用いて,声帯遊離緑の振動および声帯内部の動態を更に詳細に検討を加え, また超音波以外の検査法との比較を行う. また臨床的応用において, 喉頭を三次元的に描出し検討を加える. 成績:XーYモニターを用い, Mモード法, Mモード変法および秀過法の同時記録に加え, P.G.G.(photoelectroglottography), 音声波形,呼気流率などとも同時記録をすることが可能となった. Mモード法による正常喉頭での特続発声中の観察では, 声帯遊離緑の上部と下部では振動パチーンが異なり,両者の中間部ではその移行部が認められた. またMモード変法で観察すると, 声帯上部ではclosing phaseで, 下部ではopening phaseで, 下方をの振れが認められた. さらに透過法でclosed timeを比較したところ, 声帯上部および下部ではほぼ同じであるが, 中間部でやや長い傾向があることが判明した. Mモード変法により声帯の遊離緑とその内部の動態を比較してみると, 上方への振れのピークに位相差が認められた. 正常喉頭における起声時の観察では, Mモード法により声帯遊離緑の振動開始の状態が明瞭に観察できること,秀過法により両声帯の接触開始時期が示されること, Mモード法で観察されるよりも前に,Mモード変法による記緑が変動していることなどが判明した. さらに音声波形, 呼気流率などを同時記緑することにより, 声帯が振動を始める過渡的現象の多面的な検討が可能となった. 喉頭の三次元描写について検討したところ, 喉頭癌の内部進展範囲などの診断, 特に甲状軟骨への進展の観察に適していた.
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