1.仏教を中心とする分野 (1)『難異抄』の諸伝本の蒐集と整理を行なった。 (2)『難異抄』の近世以前の諸注の蒐集と整理を行なった。 (3)『難異抄』の本文批判を試み、新たに校訂を施し、それに基づいて注釈を加え、倫理思想史の視点から分析を試みた。『難異抄注釈』として刊行の予定。一部は「『難異抄』後記をめぐって」として発表。 (4)親鸞を中心とする研究文献の整理。一部分は「現代思想」に発表。 (5)隠遁者の思想的系譜を再検討し、その倫理思想史的意義を考察した。「隠遁者とその周辺」として発表。 2.儒学を中心とする分野 (1)古代における儒学の移入、および儒学の学的形成の経緯をめぐる思想史的考察を試みた。「日本古代儒教における学的自覚の形態」として発表。 (2)近世儒教のうち、従来研究の遅れていた〓斎学派を中心として、基本文献、関連資料の整理と蒐集を行なった。 3.神道を中心とする分野」(1)折口信夫の「まれびと 概念を手がかりとして、その批判的検討を通じ、古代日本に夫ける神について倫理思想史上の考察を試みた。「まれびとの諸相」として発表。 (2)神道五部書の一つ『倭姫命世記』を中心に、中世神道の学的形成の経過の解明に努めた。「倭姫命世記ノート」として発表。 (3)従来研究のなかった近世神道家賀茂規清の著述および事跡について、基礎的調査を行ない、関連文献の解読と注解を試みた。その一部は、「賀茂規清の述作及び関連献」、「賀茂規清略年譜」として発表。
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