研究概要 |
急速凝固法により非平衡結晶やアモルファス金属が作成され、新しい機能を有する新材料としての発展が期待されている。これらの特性は急速凝固時のプロセッシングに大きく依存し、そのためプロセッングの制御と、組織ならびに特性制御との関連を合理的に決定する必要がある。初期組成が与えられた時、達しうる過冷度がどれ位であり、その時生成する相は何であるかを知ることが、急速凝固をシミュレートする過冷凝固の最も基本的な問題といえよう。本研究では鉄-半金属系合金を対象に組成,過冷度,生成相の関係を検討した。その結果、Fe-B系においては、準安定共晶Fe+FeBが生成されることが初めて解明された。また、Fe-C系においては、過包晶の1.2wt%Cまで、準安定δ相が生成された。Fe-P系においても、準安定共晶が確認された。これら非平衡相の挙動は過冷に対する熱力学的考察、すなわち、温度,組成,自由エネルギーの関係から良く説明された。軟磁性材料として期待されているFe-Si-B合金においては、初晶αFeのとき、共晶(Fe+【Fe_2】B)の核生成サイトにならないが、【Fe_2】Bが初晶のとき、共晶の核生成になることを示した。また、【Fe_2】B初晶の組成域では得られた過冷度が大きく、この領域内にアモルファス形成領域が分布していることがわかった
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