研究概要 |
光親和性標識試薬としての放射性テトロドトキシン誘導体,(2-ニトロ-4-アジドフェニル-〔【^3H】〕-アミノエチルアミン体)を合成した。昨年度より比放射活性の高い30【C_2】/mmolの化合物を調整し得た。テトロドトキシンの化学変換で得られるほとんどの誘導体では、その生物活性が著しく減弱することが知られているので、生物活性の検定は不可欠である。本年度の合成リガンド【1!〜】と、電気ウナギ発電器官から調製した膜片を用いてその結合活性を測定したところ、Kd=14nM,Bmax=2.8pmol/mgタンパクと求まり、親化合物テトロドトキシンと遜色ない結合活性を保持していることが示された。この合成リガンド【1!〜】による光親和性標識を以下のように行った。電気ウナギ発電器官膜片を可溶化し、イオン交換体で部分精製したチャンネル標品に【1!〜】を加えて0℃,30分インキュベートし、両者の複合体を十分に形成させた後、写真用ストロボフラッシュ(350nmのフィルター付)を用いて光照射した。過剰量のテトロドトキシン共存下の光照射試料を対照とした。光反応後の両試料をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動で解析した。両試料の比較解析から明らかに、250KDaのナトリウムチャンネルタンパクが特異性高く標識されていることがわかった。この光修飾試料を酵素消化してペプチドフラグメントとし、修飾ペプチドの単離・同定が今後の課題であるが、本年度の成果はこの目標達成に大きく近づいたといえる。
|