研究概要 |
Zellweger症候群(ZS)はペルオキシソーム異常疾患のプロトタイプとして注目されている。本症候群はペルオキシソームが欠損し、このオルガネラ局在の脂肪酸酸化系が欠失する重篤な遺伝疾患である。ZSおよび関連疾患について研究し以下の成果を得た。 1.脂肪酸酸化系諸酵素の欠損。(1),今回あらたにZSと診断された日本症例3例についてインムノブロット法で検索し、2例について酵素欠損を認めたが、他の1例では酵素欠損が認められなかった。この症例については今後詳細な検討が必要である。(2),日本症例線維茅細胞を用い、パルス-チェース実験をおこない、脂胞酸酸化系諸酵素の酵素発現を認めた。(3),米国で発見された偽ZSと名付けられた症例についてインムノブロット法で検索したところ3-ケトアシル-CoAチオラーゼが特異的に欠失していることがわかった。 2.ペルオキシソーム膜タンパク質の解析。(1),日本症例剖検肝で膜タンパク質の欠失を確認した。(2),今後の研究方針を確立するため、ラット肝臓ポリソームを用いて翻訳実験をおこなった。これら膜タンパク質は遊離ポリソームで生合成され、プロテオリティックプロセシングをうけることなく膜に局在化されることを示唆する結果を得た。(3),膜タンパク質に対するcDNAをクローニング中である。
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