研究概要 |
最近新しいタイプのペルオキシソーム異常疾患が認知された. これらの疾患の特徴は極長鎖脂肪酸が体液や各組織に蓄積することである. 極長鎖脂肪酸の分解は主としてペルオキシソーム局在性の脂肪酸β-酸化系によっておこなわれる. 本研究においては患者検体(剖検肝, 培養線維芽細胞など)を用い, ペルオキシソームβ-酸化系の3つの酵素(アシルー(CoAオキシダーゼ, 2頭酵素, 3-ケトアシルーCoAチオラーゼ)についてイムノブロット解析, パルスーチェイス実験をおこなった. ペルオキシソーム構造が欠損しているZellweger症候群や乳幼児型レフサム病ではこれら酵素は生合成されるが, 急速に分解するためすべての酵素が欠失することがわかった. また別の疾患で1つの酵素が欠失していることが明らかにされたものがあり, これらはアシルーCoAオキシダーゼ欠損症とか3-ケトアシルーCoAチオラーゼ欠損症と呼ばれることになった. 副腎白質ジストロフィーでは3つの酵素とも存在していることがわかった. 現在本疾患の病因はペルオキシソームにおける極長鎖脂肪酸のCoA誘導体への活性化に異常であると考えられている. 新生児型副腎白質ジストロフィーなどではまたそれぞれ特徴的な酵素欠失のパターンを示すことがわかった. 以上の研究は国内外の多数の研究グループとの共同研究でおこなわれた. またこれら疾患の遺伝子解析の準備としてラット酵素のcDNAと遺伝子を単離し, 構造決定をした.
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