研究課題/領域番号 |
60480308
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
高橋 俊雄 京府医大, 医学部, 教授 (50079828)
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研究分担者 |
山口 俊晴 京都府立医科大学, 助手 (90111327)
荻田 修平 京都府立医科大学, 講師 (20128698)
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キーワード | モノクローナル抗体 / 大腸癌 / スキルス胃癌 / ネオカルチノスタチン / 迅速病理診断 / 癌のミサイル療法 / 制癌剤結合抗体 |
研究概要 |
(1)抗大腸癌モノクローナル抗体(A7)と抗癌剤ネオカルチノスタチン(NCS)との結合体の臨床投与例は40例に達した。重篤な副作用は一例も無く、本剤型が安全に使用可能であることが明らかになった。また、その治療効果について検討してみると、肝転移巣に対する投与例の中に有効例が認められた。すなわちA7-NCS投与6例中3例(50%)でX線CT像上、腫瘍径の縮少などの効果が得られた。 (2)大腸癌病巣の支配動脈よりA7-NCSを投与し、その到達性について検討した。A7は抗原性の低下のためA7-NCSにすると染色性はA7単独に比較して不良であった。しかし、NCSを酵素抗体法で検索したところ、多量のNCSが大腸癌細胞の内に証明された。これはA7とNCSを結合することにより、NCSが大腸癌組織に選択的に到達し、しかも細胞質内にとりこまれることを証明したものであり、モノクローナル抗体結合制癌剤によるミサイル癌化学療法の可能性を示したものと考えられる。 (3)ヒトスキルス胃癌に対するモノクローナル抗体を開発し、その特性について検討した。スキレス胃癌をヌードマウスに移植し、ヨードラベルした抗ヒトスキルス胃癌モノクローナル抗体S74を投与したところ、抗体は選択的に移殖スキルス胃癌に集積した。前述の大腸癌に対するモノクローナル抗体A7と同様に、抗癌剤のキャリアーとして使用できる可能性がある。またS202抗体は酵素抗体法でスキルス胃癌を特異的に染色したので、これを臨床に応用した。すなわち、スキルス胃癌の深達度利定や、手術中の凍結迅速診断がS202を用いた染色により、より容易かつ正確にすることが可能となった。
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