研究概要 |
本研究は関節炎,関節症病態を、関節軟骨の細胞外マトリックス成分であるプロテオグリカンを中心に、形態学的,生化学的に検討したものである。 1)関節軟骨マトリックス組成の一つであるヒアルロン酸は、プロテオグリカンaggregate形成に関与しているが、他に軟骨表層にもaffimityを有し、軟骨からのプロテオグリカン遊出に抑制的に働くことがわかった。 2)Goriticに軟骨基質形成の阻害のあるCMDマウス軟骨では、軟骨固有の軟骨型プロテオグリカンの形成がないこと、しかしリンクプロテェインは正常に形成されていることがわかった。 3)CMD軟骨の電顕的観察から、コラーゲンに関しては、通常のコラーゲンより大きなgiant collagenの形成がみられ、プロテオグリカンの機能として、コラーゲンのfibrillogenesis抑制効果が存在することが明らかになった。 4)軟骨型プロテオグリカン形成のないCMD軟骨は、軟骨マトリックス内でのプロテオグリカン-コラーゲンのinteraction,ならびにそれら高分子物質の機能を知るために非常によい実験系である。 CMD軟骨細胞培養系に加えられた軟骨型プロテオグリカンモノマーは、CMD軟骨細胞の作る他の基質成分,つまりヒアルロン酸,リンク蛋白質,【II】型コラーゲンと相互作用して基質にとりこまれることがわかった。その結果異常化していた【II】型コラーゲンの蓄積,フィブロネクチンの分布の正常が生じたと推定された。 以上示した研究成果は、軟骨マトリックスのプロテオグリカン,コラーゲンに関する機能を示すもので、関節炎,関節症におけるマトリックス成分の変性,崩壊機序を考える上できわめて重要な示唆を与えるものである。
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