研究概要 |
1.hCG産生絨毛癌株(BeWo)を移殖したヌードマウスに、抗hcG-B抗作(ポリクローナル)を腹腔内に投与し、経時的に腫瘍および諸臓器を摘出し、凍結切片にてPAP法にて染色した。ラビットIg投与群(コントロール)においてもある程度の腫瘍への集積を認めたが、抗hcG-B抗体投与群ではコントロール群に比し、明らかに強い集積を認めた。しかしコントロール群と同様に肝への集積も認められた。また腫瘍組織における抗体分布は血管周囲に強く、腫瘍中心部への分布は少なかった。以上のことよりミサイル療法において固形腫瘍のVascularityや網内系へのtrap等問題点を示唆する結果を得た。 2.培養細胞(BeWo)を用いて、ADM,MTX,を単独およびリポソーム封入体として接触させCytotoxicityを観察した。螢光顕微鏡にてADMの動向を観察するとリポソーム封入群の方が細胞内へのADMの移行が速くまた滞留時間も長かった。しかしCytotoxicityにおいは有意差を認めなかった。これはMTXも同様であった。 3.数例の睾丸腫瘍患者(hcG産生腫瘍)尿よりパームチット法を用いhcGを描出しその部分的精製を行ない、電気泳動,Western blattiny等により生化学的分析を行なったところ等電点は正常に比し強い酸性域にあり、分子量も大きいという結果を得ている。これは一般に言われている癌性変化による細胞膜上の夕ンパクや脂質の糖鎖付加と同様hcGにおいても癌性糖鎖付加が起こっている可能性を示唆している。今後レクチン等を用い詳細に検討する予定である。 4.3.で抽出した癌性hcGをマウスに免疫し、hcGの癌性変化部分を認識するモノクローナル抗体の作成を試みた。従来の方法に従い数個のhybriclornaを得たが、hcGとは反応するものの、癌患者尿より抽出したhcGのみにSpecificに反応するものは得られなかった。今後さらにモノクローナル抗体の作成を試みる予定である。
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