研究概要 |
初年度確立した方法で、ブタ心筋ミトコンドリアのピルビン酸及び2-オキソグルタル酸脱水素酵素複合体を精製し、前者より尿素存在下HPLCを導入したゲルろ過でジヒドロリポアミドアセチル転移酵素(LAT)を、後者よりグアニジン塩酸存在下ゲルろ過と硫安分画の併用でジヒドロリポアミドスクシニル転移酵素(LST)を純化し、一部で高力価家兎抗血清を調製した。両酵素抗体は、ヒト酵素をブタ酵素抗原と同じ程度に沈降させることが分った。両酵素mRNAの分離を検討し、材料として生下直後子ブタ及び培養HeLa細胞が最適で、チオシアン酸グアニジン抽出が不可欠であることが分った。ブタ心筋mRNAからcDNAを生合成し、λgt11発現ベクターに組込み、そのライブラリーを作成した。他方、HeLa細胞由来のヒトλgt11cDNAライブラリーは、Nielsen博士より恵与を受けた。ハイブリド蛋白質の免疫学的同定法を用い、両ライブラリーから両酵素cDNAクローンのスクリーニングを行った。先ずヒトライブラリーから400bp(LAT)と700bp(LST)のクローンを選択した。これらをプローブとし、ハイブリダイゼーション法で、岡山博士恵与のプラスミド(pCD及びGM367)ライブラリーから、それぞれ2.3kbp(LAT)及び2.9kbp(LST)のクローンを選択し,サブクローニングし,分離した両cDNAの塩基配列をSangerのジデオキシ法で決定した。他方過ギ酸酸化したブタ両酵素のN【H_2】(N)-末端周辺一次構造をシークエンサーで決定した。LATからはSerを、LSTからはAspをN-末端アミノ酸として検出し、更に、それぞれ38残基及び32残基のアミノ酸配列が決定し、ヒト酵素塩基配列に基づくアミノ酸配列と比較検討したが、相同性領域は殆んど見出せなかった。直ちに、ヒト胎盤由来cDNAライブラリーを用い、再度スクリーニングを行い、1.9kbp(LAT)と2.5kbp(LST)のクローンを選択し、サブクローニングし、分離したcDNAの塩基配列を決定中で、早期決定を期待している。
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