研究概要 |
超低周波音は我々の取りまく環境内に広く存在しており, 殊に飛行機, 自動車, 新幹線によって生ずる超低周波音が人体に影響を及ぼす可能性があるかどうか検討することは極めて大事な事と思われる. しかしこれまでこの問題に関して十分な基礎的な研究が行なわれていない. 本研究は超低周波音が人体に及ぼす影響について基礎的な研究を行なった. 1)モルモットを用いた電気生理学的な実験において超低周波振動と音響を負荷する事によって蝸牛機能の低下が示唆された. 2)病理組織学的にも超低周波振動と音響を負荷する事によって内リンパの虚脱を示唆する所見が得られた. 3)ABR(聴性脳幹反応)上, 脳幹に異常を認めなかった. 4)心電図R-R間隔を用いた実験では自律神経に対する影響が示唆された. 今後更に内耳, 自律神経に及ぼす影響について多方面からの研究を行なう必要を痛感しており, 血中カテコールアミンの定量, 心電図R-R間隔の長時間分析の為のソフト開発等を今後の課題と考え鋭意準備中である.
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