1.体育研究推進校における体育授業の傾向 "体力づくり""楽しい体育""意欲づくりの体育"等、その研究テーマがなんであれ、一般的に小学校の体育授業では「活気」を求める傾向が強く、教師と子どもとの言語的相互作用の数量的比率から、授業のねらい・内容を特徴づけることは困難であった。 2.体育授業分析のためのチェック・リスト表の作成-教育学部学生による「役割分担授業」とマイクロティーチングの実践をもとにして- 教育実習生の批評授業と学生による「役割分担授業」(40人規模)における言語活動の分析をとおして、体育の授業分析表のチェック・リスト表を作成した。このチェック・リスト表を用いて、学生によるマイクロティーチング授業(10人規模を4組)を分析した。その結果、体育における教師の発言には、教材そのものに関する内容よりも、指示・命令の類が多く、また生徒に考えさせようとすればするほど、教師の発言量が増加する傾向のあることが判明した。また生徒の発言は、教師の問いかけにたいしてよりも、むしろ与えられた運動課題にたいする疑問のほうが多い傾向もあった。したがって、とくに体育の授業分析にあたっては、その数量的把握とともに、発言内容の把握ができるチェック・リスト表の作成が、大きな課題となろう。 3.外国の体育における「からだづくり」と「楽しさ」との関係 本研究で事例的に取り上げたドイツ民主共和国(東ドイツ)の体育(FachSport)は、「身体的基礎形成」の第一目標を、子どもの授業外の体育的活動や地域スポーツ活動と結合する立場である。この点は、「からだづくり」と「楽しさ」を矛循なく追求する体育実践研究にも、有益な示唆が多いといえるだろう。
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