硫酸還元菌宮崎株F(MF株)のDNAのSau3A部分加水分解断片5-10kbpを、pBR322のBamH1切断・ホスファターゼ処理断片とDNAリガーゼでつないでプラスミド混合物を得、これを用いてHB101株にトランスフェクションを行った。得られるアンピシリン耐性のコロニー数が極めて少なかったので、結合の条件の検討を行い、DNAおよびプラスミド断片とも反応液20μl巾の量を0.1μg以下としたときの方がよいことを見出した。この方法で、アンピシリン耐性の株を分離したが、そのうち10-40%がテトラサイクリン感受性で、DNAと結合したプラスミドを含むと思われた。その12株についてプラスミドの抽出を試み、アガロース電気泳動を行ったが、殆んどすべてにプラスミドの存在が認められた。そのうち、3株は大きさが4-5Kbpで、pBR322と大きさが変らなかったが、8-10数Kbpの大きさで、DNAを結合したプラスミドであることがわかった。 アンピシリン耐性・テトラサイクリン感受性株約1000について、硫酸還元菌MF株亜硫酸還元酵素(SiR)に対するウサギ抗血清を作用させ、ペルオキシターゼで標識した抗ウサギ免疫グロブリン血清(ヤギ)と結合するコロニーを選別したが、明らかに結合を起したコロニー、すなわちSiR遺伝子を組み込んだプラスミドを含む菌株は得られなかった。これはまだ菌株の分離が充分でないとも考えられる。今後、さらにトランスフェクションの能率のよいHDI株を用いてトランスフェクションを行い、SiR遺伝子を含むプラスミドを分離する予定である。また、チトクロム【C_3】に対する抗血清を用いてその遺伝子のクローニングを行う。
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