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1986 年度 実績報告書

植物遺伝子源の凍結保存のためのレーザー低温顕微鏡の開発

研究課題

研究課題/領域番号 60840020
研究機関北海道大学

研究代表者

吉田 静夫  北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90001651)

研究分担者 仁木 輝緒  北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90125336)
菅原 康剛  埼玉大学, 理学部, 助教授 (70114212)
朝倉 利光  北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (70001188)
キーワード植物遺伝子源 / 凍結保存 / 低温顕微鏡 / 凍結傷害
研究概要

レーザー低温顕微鏡装置は光学系および低温チャンバー共に完成し、ほぼ予期通りの性能が得られた。現在、画像録画装置と画像計測システムをつないで種々の実験を行っている。ホウレンソウやナニワズの葉肉細胞を種々の温度まで凍結するとき、約-10℃までは細胞外凍結による細胞容積の減少はほぼ凍結温度に応じて直線的に減少するが、それ以低の凍結温度では細胞容積の変化量は急激に小さくなった。また、凍結による細胞容積の減少過程は耐凍性に依存し、耐凍性の小さい細胞ほどより高い凍結温度で急激に縮小が起こった。このことは、細胞の耐凍性と凍結による細胞容積の減少過程が密接に関連していることを示すもので、種々の凍害防止剤の作用機序の解明に有力な糸口を与えるものと考えられる。一方、いったん凍結した細胞を融解させるとき、大部分の細胞周辺の水がまだ凍っている-5℃近くから細胞の再吸水による容積増加が観察され、細胞表層近傍に不凍結水層が存在することを暗示している。細胞が凍害を受ける温度まで凍結し融解させるとき、細胞容積はほぼ元のレベルまで増加するが、細胞内の小器官の配置に著しい変化が観察され、細胞内構造が著しい影響を受けていることがわかった。このことは、液胞の形態ならびに機能が凍結によって変化することを暗示していて、今後詳しく解析する必要がある。ゼニゴケのプロトプラストが細胞壁を合成して再分化する過程で、耐凍性が著しく変わることが発見され、細胞内凍結の起こし易さや細胞外凍結による細胞容積の変化量にも著しい差異が認められた。以上のように、本装置を用いて細胞凍結融解過程の詳しい観察を解析することによって、細胞凍害の機構がかなり解明できる見通しがついた。最終年度では、更に多くの植物細胞について観察を続行すると同時に、種々の蛍光プローブを併用して凍結による細胞機能の変化、例えば細胞内pHやCa濃度などを詳しく解析する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] S.Yoshida;M.Uemura: Plant Physiology. 82. 807-812 (1986)

  • [文献書誌] S.Etani;S.Yoshida: Plant and Cell Physiology. 28(1). 83-91 (1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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