本研究は学生のCAD教育に利用するためのエンジニアリングプログラムベースの開発を目的としている。エンジニアリングプログラムベースとは各種問題向き設計式、特性解析式、形状処理、図形処理等のためのプログラムモジュールを格納し、管理し、検索するシステムを備えるものでエンジニアリングデータベースを包含する。 本年度は3ケ年に渡る研究の初年度で次の各項目について基礎的研究を行い所定の成果をあげた。 (1)モジュールのプログラムフォーマットの設定: 各種エンジニアリングプログラムモジュールを開発するにあたって、その形式を決めた。考え方の基礎として先に研究したモデロンと呼ぶモジュールプリミティブとその結合、組合せの方法論を採りあげた。 (2)モジュール間のリンケージ方式の研究: モデロンは境界因子と呼ぶ結合子を持っていた。これを拡張した結合子マトリクスによって結合条件を決める方法を提案し、実際にプログラムを開発した。 (3)モジュール結合を行う簡単なプログラム言語の開発: モデロン定義文、モデロン実行文で成るシンボリック言語を開発した。モデロン定義文は、引数定義文、オブジェクトおよびオペレーション記述文、I/Oマトリクス記述文で成り、モデロン実行文はモデロン選択文、モデロン結合文、非結合文、I/Oパターン指定文、代入文、ネットワーク文、実行文などから成る。 (4)既開発の形状、図形処理モジュールの組み: すでにTIPSと呼ぶCAD用ソリッドモデラーや、各種のデイスプレイ用プログラムを開発しているが、これらをモジュール化する作業に現在とりかかっている。 以上のように研究計画に従ってほぼ予定通りのスケジュールで、研究を進行させ、当初期待した成果を得ている。
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