研究課題
試験研究
単結晶アルミナと窒化チタン弁座より成る傾斜開放型セラミック弁を開発した。1.臨界表面張力は、窒化チタン32dyne/cm、単結晶アルミナおよびLTIカーボン26dyne/cmであり、いずれも生体適合性に優れた材料の表面張力20-30dyne/cmに近い値を示した。2.試料リングを2週間下大静脈に植え込んだところ、単結晶アルミナでは、血栓が全くなかったもの1例、わずかな血栓がみられたもの4例であった。また窒化チタンでは、3例で全く血栓が認められず、2例で少量の血栓形成がみられた。いずれの材料も優れた抗血栓性を示した。3.セラミック弁の耐久試験を行なった。圧力差1750mmHg、駆動回数91000回の後も破壊しなかった。報告によると、市販弁で最も耐久性があったのは、Hall-Kaster弁で1750mmHg、80880回であり、セラミック弁は市販弁より耐久性に優れているといえる。4.単結晶アルミナと窒化チタンのピンオンディスク摩耗試験を行った。摩耗した窒化チタンのwear factorは1.8X【10^(-7)】【mm^3】/Nmで、摩耗量も許容範囲内であった。5.拍動流特性を測定したところ、セラミック弁の圧力較差は、Bjork-Shiley弁より低く、Omni-Science弁やSJM弁とほぼ同じであった。またディスクの開放はセラミック弁が最も敏速であった。6.セラミック弁を補助人工心臓の流出弁として使用し、羊(2頭)に植え込んだ。実験終了後セラミックディスク上には血栓はみられなかったが、流入弁として使用したLTIカーボンディスクには点状の血栓がみられた。以上よりセラミック弁は、人工心臓弁として有望と思われる。
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