研究課題/領域番号 |
61010056
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
関口 睦夫 九大, 医学部, 教授 (00037342)
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研究分担者 |
石田 良司 愛知県がんセンター研究所, 生化学部, 主任研究員 (50150214)
藤堂 剛 大阪大学, 医学部, 助手 (90163948)
幸田 光復 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60124286)
大塚 栄子 北海道大学, 薬学部, 教授 (80028836)
池永 満生 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (70025378)
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キーワード | アルキル化剤 / DNA損傷 / DNA修復 / 修復酵素 / 発がん / 除去修復 / エンドヌクレアーゼ / 遺伝子クローニング |
研究概要 |
アルキル化剤でDNAを処理すると少くとも12種の異なったアルキル化塩基が生じることが知られているが、そのうち細胞の癌化に最も関係するのは【O^6】-メチルグアニンと考えられている。そこでこの異常塩基を修復する酵素(【O^6】-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ)を中心に研究した。この酵素の遺伝子adaは前年度までの研究で大腸菌K-12株からクローニングし、その塩基配列も決定することができた。本年度の研究ではこの遺伝子のメチル受容部位と考えられるシステイン残基をアラニンで置き換えた変異型蛋白を作製した。そのためにクローニングした遺伝子の所定の部分を合成オリゴヌクレオチドを用いて改変し、変異型の蛋白質を大腸菌でつくらせた。その結果N末端近くに位置するシステイン残基(Cys69)がメチルホスホトリエステルからメチル基をうけとり、またC末端近くに位置するシステイン残基(Cys321)が【O^6】-メチルグロアニンからメチル基をうけとることが明らかになった。次にクローン化したada遺伝子をこの酵素を欠くヒト培養細胞へ移入し、その効果をみた。適当な発現ベクターにつないで宿主染色体に組み込み、メチルトランスフェラーゼを大量につくらせるとニトロソグアニジンの致死効果に対して著しく抵抗性を獲得することがわかった。このことは【O^6】-メチルグアニンがヒトの細胞における主要な致死損傷であることを強く示唆する。この他にメチル化塩基をDNAから除去する2種のグリュシラーゼの遺伝子alkAとtagもクローニングし、その産物の同定と性格づけを行った。また紫外線などによるDNA損傷を修復する酵素の遺伝子についての研究も行い、Mtcrococcus lutensから修復エンドヌクレアーゼの遺伝子をクローニングするとともにT4ファージの修復エンドヌクレアーゼの遺伝子を化学合成し、大腸菌で発現させることに成功した。
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