研究課題/領域番号 |
61065004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本庶 佑 京都大学, 医学部, 教授 (80090504)
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研究分担者 |
佐辺 寿孝 京都大学, 遺伝子実験施設, 助手 (40187282)
清水 章 京都大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (00162694)
松浪 伯禎 京都大学, 医学部, 助手 (40192752)
木梨 達雄 京都大学, 医学部, 助手 (30202039)
川市 正史 京都大学, 医学部, 助教授 (00195041)
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キーワード | 抗体遺伝子再構成 / DNA結合タンパク質 / cDNAクローニング / integrase family / transgenic mouse / double isotype expression / trans splicing |
研究概要 |
(1)リンパ球における遺伝子再構成酵素の解析。杭体遺伝子及び、T細胞レセプター遺伝子の再構成には7塩基対及び、9塩基対の保存された塩基配列が不可欠である。このことから、再構成認識配列を認識して結合するタンパク質の存在が予測された。今回我々は、J_K認識配列オリゴノクレオチド合成し、これに結合するタンパク質の精製を行った。このタンパク質は分子量6万で結合塩基配列に高い特異性を有し、そのkdは1nMであった。精製標品は、DNA foot printing解析により、7塩基対近傍に結合することが示された。このタンパク質の部分アミノ酸配列を決定することにより、これに対応するcDNAのクローニングを行った。このcDNAの塩基配列の解析の結果、このタンパク質は40残基のintegrase familyに共通のモチーフ構造を有することが明らかとなった。integrase familyは、バクテリア、ファージ、酵母等における部位特異的遺伝子組み替えに関与する酵素であり、我々の単離した遺伝子は、高等動物における遺伝子再構成に関与することが強く示唆される。 (2)クラススイッチの分子機構。我々はすでに、クラススイッチがVDJ組み替えと異なる遺伝子再構成によることを明らかにした。しかし、その中間段階として、2種類のアイソタイプを表現する状態が存在することが示唆され、その仕組みとしてRNAレベルにおける調節の可能性が指摘された。我々は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入した遺伝子導入動物をもちいて、この生物においてヒトのV領域遺伝子とマウスのCr領域遺伝子を持った、所謂、トランスmRNAの発現が行われることを証明した。このことは、二種のアイソタイプの表現に際してtrans splicingが起こる可能性を示唆するものである。
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