研究課題/領域番号 |
61210016
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高井 新一郎 阪大, 医学部, 講師 (80028513)
|
研究分担者 |
立石 秀郎 大阪大学, 医学部, 医員
矢尾板 芳郎 京都大学, 医学部, 助手 (00166472)
熊原 雄一 大阪大学, 医学部, 教授 (60028313)
|
キーワード | 遺伝性甲腺髄様癌 / MEN2型 / がん遺伝子 / 連関解析 / RFLPs / 腫瘍組織におけるヘテロ接合性の消失 |
研究概要 |
遺伝性甲状腺髄様癌の原因遺伝子が、どの染色体上にあるかを見つけるために、好発家系を利用した連関解析と、腫瘍組織DNAと白血球DNAとを比較し、違いを捜す方法との2つを用いて研究を続けてきた。 1.連関解析による方法 甲状腺髄様癌家系の17家系から120余名分の血液サンプルを入手し、DNAを抽出保存した。また、諸外国の研究者より、多型性を示すDNAプローブ数十種を入手した。これとは別に、独自に9種のプローブを単離し得た。この内の1つであるOS-4は、18番染色体q21・3-q terに位置することがわかった。(このプローブの占めるlocusは、D18S5と命名された。)これらの家系を用いて、lod scoreを計算したところ、古典的マーカー Gm,Jkとの連関は、組換価θ=0.10で否定され、PGM1とは、θ=0.05で否定された。また、DNAマーカーについては、11種のプローブでlod scoreが計算できた。この内、染色体分析で欠失があると報告されている所に位置するD20S5との連関がθ=0.10で否定された。つまり、連関が否定されたマーカーの近傍には、原因遺伝子は無いということになる。 2.腫瘍組織DNAと白血球DNAとの比較 12例の甲状腺髄様癌組織と白血球との遺伝子型を、15種のDNAマーカーを用いて比較した。この方法を用いれば、そのマーカーが原因遺伝子のすぐ近傍になくても、同じ染色体上にさえあれば、腫瘍組織でのヘテロ接合性の消失としてとらえることができる。今のところ、まだこの現象を見つけるには至っていないが、更に多くの腫瘍組織を集めて検討を続けていく予定である。なお、Hillらは、腫瘍細胞の染色体分析で22番染色体の異常を報告しており、このことから私達は、今後22番染色体に的を絞って研究をすすめていくつもりである。
|