研究概要 |
1.構造論的研究 (1)認知的多義性, パターンの定義により, パターンは本来多義的である. 本研究により, 認知的変換が群をなすことが明らかになった. このことにより, パターン認知に変換群が関係することになり, パターン認知の対義性がさらに定式化された. (2)有効入力刺激セット,刺激セットが認知されると対応するパターンのセットが記憶系に記憶されると考えられる. しかし, 記憶表象生成モデルによれば, その他に記憶系に記憶表象が生成される. 従って, 刺激セットが学習されると, もとの刺激セット以上のパターンが記憶系に記憶されうる. (3)このようにしてパターンが認知され, それに基づいて対象世界が認知されると考えられる. このような知見が構造論的研究によって得られた. 2.意味論的, 計算機科学的研究 「知識を作るとはいかなることか」という問題を設定し, 「知識を作る」ような習するシステムを構築する研究を行なってきた. その結果, 未知言語環境における帰納的学習システムのモデル, 帰納的学習システムLS/1による翻訳の学習, 確信度つき論理プログラムの最良優先探索アルゴリズム, 有効な教師役, 等に関して興味ぶかい成果が得られた. 3.認知論的研究. (1)プライミング効果の研究によりエピソード記憶,意味記憶,手続き記憶の3者の間の関係,知識構造,および知識形成の認知過程が明らかにされてきた. (2)刺激の反復提示, 相互に明確な関係構造を有する刺激セットの学習において, いかに知識が形成されるか理論的・実験的研究が行なわれ, パラドックス現象を発見し, 記憶表象生成モデルを構築する等, ユニークな研究成果が得られた.
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