研究課題/領域番号 |
61301044
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研究機関 | (社)部落問題研究所 |
研究代表者 |
藤谷 俊雄 部落問題研, その他, 研究員 (60072691)
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研究分担者 |
青木 孝寿 社団法人部落問題研究所, 研究員 (90072694)
池田 敬正 京都府立大学, 文学部, 教授 (00071209)
井ケ田 良治 同志社大学, 法学部, 教授 (90066093)
鈴木 良 社団法人部落問題研究所, 研究員 (70179274)
朝尾 直弘 京都大学, 文学部, 教授 (20025018)
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キーワード | 部落問題 / 地域支配 / 近世賤民 / 近代天皇制 / 各望家層 / 戸籍 / 徴兵令 / 解放令 |
研究概要 |
本総合研究において今年度は、研究上の問題と近世・近代をとおした方法論の検討をおこなった上で以下の研究テーマを設定した。 1.近世の賤民支配の特質を明確にし、近代天皇制下の地域支配への移行を考える。2.徴兵令・戸籍・「解放令」など、身分制撤廃の一環として考え、朝藩体制期の賤民支配、地域の動向をさぐる。3.都市,農村それぞれにおいて、自由民権期の部落の動きを明らかにする。特に、「自由平権」主義の主張とのかかわりを重視する。4.天皇制的地域支配の確立の一環として部落問題の成立を考える。この研究テーマにもとづく研究をすすめる為に、各種新聞史料また、近畿あるいは関東における史料調査をおこない、滋賀、京都,奈良,和歌山など、行政文書を中心とする史料蒐集をおこなうことができた。四回おこなった全体の研究打ちあわせ会議において蒐集した史料にもとづきながら、研究討議を重ね、一部についてはすでに研究成果の公表をおこなうまでに致っている。初年度の研究討議をとおして明らかになった点は、1.従来は悲惨であるとして一括されていた部落の生活、仕事にかかわる実態が大正初年の部落調査の資料の新たな発掘などにより、その階層分化をもふくめて、具体的に明らかにしえたこと。2.近世の賤民制は「解放令、によって解体されたが、地域においては、明治20年代まで、生活共同体を別にするなど、明らかに旧身分にともなう差別が残存していたこと。3.都市における明治20年代までの支配層の部落問題認識は、旧身分にかかわってということでなく、治安、衛生対策上の問題として意識されていたこと。などである。全体的にみれば、近代の部落問題は、明治20年代の市町村合併を期に、近代天皇制の確立過程のなかで、その地域支配の貫徹と結びつき登場してくるという見通しをえることができた。
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