研究概要 |
(1)イネ縞葉枯,キュウリ黄化,ブドウ葉巻,ランえそ斑紋,カンナ黄色斑紋,アオキ輪紋,サツマイモ葉巻,ブドウ味無果,ブドウ萎縮の各未分類の各未分類のひも状、短桿菌状および球状ウイルスについて、野外より採集あるいは接種して各種の性状を究明した。各ウイルスについてはDN法および純化して逆・陽染色で形状と微細構造を電顕観察し、純化試料についてはその構成素材をあわせ理化学的性状を調べ、ブドウの2種ウイルスについては抗血清を作製し血清学的性状を検討し、それらの診断法を開発し、さらに各ウイルスの所在および増殖様式を精査した。 (2)菌類伝搬の桿状のフロウイルスについては、ムギ類萎縮およびビートえそ性葉脈黄化のウイルスを中心に多粒子性を明らかにし、構造蛋白質と核酸ゲノムを分析した。前者については日米の系統を比較し、さらにウイルス粒子および抽出RNAを用いコムギ胚芽抽出物での無細胞蛋白合成系で外被蛋白質を含む類似した4成分が産生された。 (3)種子伝染性潜伏(テンペレート)ウイルスについては、既往のウイルスの分布をさらに調べ、新たにトウガラシウイルスを発見し、性状を究明した。本群ウイルスを日欧間で理化学性および免疫電顕法による血清学的性状で比較検討し、アルファルファ,ビート,ホワイトクローバ,ダイコンの各テンペレートウイルスの異同を究明した。 (4)国際および国内検疫で交流される有用植物、特に果樹類を中心に汁液接種、エライザ法、電顕を主に用いて未記載ウイルスを探索したところ、nepovirus,ilarvirusおよびclosterovirusの3群が多く検出され、その検疫上の重要性が指摘された。 (5)本邦で発見したタバコわい化およびレタスビッグベインの2種のウイルスは桿状では最初の2本鎖RNAウイルスであることが知られ、かつ分節ゲノムから成り、両者は血清学的に近縁であった。 (6)各成果をもとに、ウイルスの分類学的考察とその検出・診断法を検討した。
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