研究課題/領域番号 |
61400006
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
田中 義昭 島根大, 法文学部, 教授 (70144681)
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研究分担者 |
林 正久 島根大学, 教育学部, 助教授 (90033521)
徳岡 隆夫 島根大学, 理学部, 助教授 (30025358)
原 宏 島根大学, 法文学部, 教授 (90032581)
井上 寛司 島根大学, 法文学部, 教授 (40027967)
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キーワード | 矢野遺跡 / 特殊土器 / 基盤層(三瓶山火砕流堆積物) / 出雲国大税賑給歴名帳 / 朝山文書 / 千家文書 / 出雲大社文書 / 美保神社青柴垣神事 |
研究概要 |
考古学班は、主として出雲平野における原始・古代集落の変遷とその特徴を捉えることを主眼に調査研究を進めた。具体的には出雲市矢野遺跡を発掘調査し、出雲平野における弥生・古墳時代の中心的集落跡解明に一歩踏込んだ。成果としては集落が立地する基盤層の形成の時期と成因について解明の見通しを得たこと、特殊土器の検出によって弥生期の中心的集落としての性格の一端が捉えられたこと等である。 古代史班では出雲国関係の古代末期の文書調査を悉皆的に実施し、千家文書・出雲大社文書に開発関係の史料が存することを突き止めた。また、正倉院文書(「出雲国大税賑給歴名帳」)の校訂を行い、中央政府における出雲国出身者の動向を探ぐった。 社会学・民俗学班では、(1)美保神社・出雲大社の現行神事の溯源的研究を行い、前者の祭事に確実に古代に溯るもののあることを明かにしたこと,(2)田植歌の分布から出雲・石見の地域性の変遷と特性を追求したこと,(3)斐伊川流域における「風土記」記載の寺社の儀礼について全面的な資料収集を実施したこと等がある。 自然班では、地理学的方法によって平野の形成過程を追求することと、沖積地の微地形および表層堆積層の解析により平野の形成史を明かにすること、神西湖の湖底堆積物の分析による神門水海の発達史の解明等を行った。これらによると中世末・近世初以降において出雲平野の様相に一つの形成画期があり、それが上流域における砂鉄生産と大きくかかわることが想定された。 本年度の研究概要は、以上のように、多面的なアプローチによる出雲平野の形成とそこでの歴史の展開に切り込んだが、成果はまだ部分的であり、特に平野の形成史については視点の検討も含めて、古代へどう溯源的究明の手を伸ばすかが大きな課題である。
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