研究課題/領域番号 |
61410003
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 勉 東北大学, 文学部, 教授 (10004037)
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研究分担者 |
長谷川 計二 東北大学, 文学部, 助手 (00198714)
永井 彰 東北大学, 文学部, 助手 (90207960)
海野 道郎 東北大学, 文学部, 助教授 (90016676)
斎藤 吉雄 東北大学, 文学部, 教授 (10004029)
船津 衛 東北大学, 文学部, 助教授 (90047184)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 農業生産組織 / 土地改良 / 兼業化の深化 / 農民層分解 / リーダー |
研究概要 |
現代日本の農業は激変しつつある。全国各地で農家の個別経営は根底から揺さぶられ、それを支えるために農業生産組織が多種多様な形態のもとに現出している。農家と農業生産組織がそれぞれの相対的な自立性を前提としつつネットワーキングを形成することが、関係農家にとって死命を制する根本問題であることが判明した。こうした農業生産組織の成立のためのモメントとしては、特に後継者層の兼業の深化による家族協業経営の危機ならびに民主的自治に適合した村落社会の二つを前提として、(1)まず囲場整備ないし土地改良の問題、(2)農外の安定就労のチャンスの飛躍的増大、(3)多数の全面委託農家とごく少数の専業志向農家への分解、(4)農業生産組織および集団的土地利用システムについての明確な理念を抱いているリーダーの活躍、といった四つの要因が相乗作用して農業生産組織が形成されている。その地域の状況や関係農家の状態に応じて農業生産組織が結成されるのだが、結局のところリーダーの「農家」の利害関心構造に適合しうる形でしか、農業生産組織は存立しえない。その意味で農業生産組織は、リーダーの農家の農業経営にもっとも強力に補完している。すべての関係農家の利害関心に適合でき、またかつ出入り自由なネットワーク・システムとしての農業生産組織の方向にそれが変化しうるのでなければ、この組織の存立は結局のところ不安定にとどまることが実証された。各農家の存立基盤と適合的なものとして農業生産組織がそれぞれの条件に応じて生成し展開するところに、日本農業の確実な未来が来ることが、明るみに出された。なお、集落やムラの歴史的分析や生活史的分析を企てる一方で、21世紀における農業の可能的形態について、理論的分析が、生産組織の把握に不可欠であることが痛感された。
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