研究分担者 |
広川 禎秀 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (30047237)
飯田 収治 大阪市立大学, 文学部, 教授 (70047116)
北村 秀人 大阪市立大学, 文学部, 教授 (50047065)
高橋 章 大阪市立大学, 文学部, 教授 (60046901)
森田 明 大阪市立大学, 文学部, 教授 (20078455)
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研究概要 |
1.本研究の第一段階である各国史料の比較研究については, 分担者各自の分野における重要史料に関する基礎的研究を通じ, その存在形態や性格, 現状の確認において一定の成果をあげた. 日本史関係では, 正倉院文書の現行版編纂過程における錯誤, および再整理と復原作業の現状や問題点を明らかにし, 同文書研究史の書誌学的整理がなされた. 中世文書一般に関しては, 機能と伝来の形態による分類を新たに提唱し, また文書群の保管と廃棄の原則を明確にした. 東洋史関係では, 中国史料中の重要史料たる石刻について, 六朝時代を中心にその実態と歴史的性格を検討し, またトルコ近代史史料としての定期刊行物の現状の確認と, 分類整理を行なった. 西洋史関係では, ビザンツ史の重要史料である年代記史料, イタリアを中心とする中世商業史史料の収集と整理を行ない, 一部史料については書誌学的検討を加え, 目録を作成した. また, 帝政ドイツにおける外国人労働者研究の中心史料となる統計資料の調査を行なった. 以上の成果は主として本報告書に収められているが, 若干のものは別に公表されている. 2.以上のような史料の基礎的研究の上に各分担者による実証的研究が推進されて, 一定の成果を収めた. 日本古代中世文書を用いた古代財政や中世社会構造の研究, 石刻史料による六朝貴族制研究, 地方志による中国近代地域社会研究, ビザンツ帝国の国家財政, 中世イタリア商人, オスマン帝国のイスラム改革主義の研究などで, それらは各種刊行物に公表されている. 3.史料保存, 利用, 文書館制度の問題については, 実地の見聞を分担者各自が広めたほか, 特に日本と西ドイツの文書館の比較を行なうことによって認識の深化をはかった. 本報告書にはその西ドイツ文書館制度の実態についての文書を収めている. ただ, この問題についてはなお一層の研究が必要と思われる.
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