研究課題/領域番号 |
61440007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾本 恵市 東京大学, 理学部, 教授 (10011503)
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研究分担者 |
斎藤 成也 東京大学, 理学部, 助手 (30192587)
徳永 勝士 東京大学, 理学部, 助手 (40163977)
植田 信太郎 東京大学, 理学部, 助手 (20143357)
平井 百樹 東京大学, 理学部, 助教授 (60156635)
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キーワード | 分子進化 / 多重遺伝子族 / 免疫グロブリン遺伝子 / 分子系統樹 / 体細胞遺伝学 / 主要組織適合性複合 |
研究概要 |
(1)免疫グロブリン多重遺伝子族における分子人類学的研究(植田)。前2年度ではヒトに最も近縁な霊長類であるアフリカ産類人猿とオランウータンを中心に解析したが、本年度は残りのヒト上科であるテナガザルならびにアウトグループとして旧世界猿を対象に免疫グロブリンC_H遺伝子群の比較を行なった。その結果、ヒトおよびアフリカ産類人猿ばかりでなく、これらの霊長類の系統においてもそれぞれ独立に遺伝子重複・欠失などの突然変異がくり返し生じてきたことが明らかとなった。(2)主要組織適合性複合体(MHC)領域の比較マッピング(徳永)。パルスフィールド電気泳動法を用い、ヒトMHC領域のメガベースレベルの大規模な分子地図を様々なMHCハプロタイプにつき作成した。その結果、MHC領域の大規模な遺伝子構成はハプロタイプに特異的で、異なるハプロタイプの間には数十〜200Kbものサイズの差があることを見出した。(3)補体第6成合(C6)および第7成分(C7)遺伝子の変異の研究(徳永・尾本)。韓国人集団における遺伝的多型について調査報告した。さらにC7の変異型の2種の対立遺伝子産物は量的あるいは質的に低いレベルにあることを示す結果を得た。(4)分子系統樹作成法の開発と免疫系遺伝子のデータへの応用(斎藤)。遺伝距離行列から分子系統樹を構築する新しい方法「近隣結合法」を開発し、HLA遺伝子の頻度データを用いて人類集団間の遺伝的類縁関係を考察した。(5)MHC領域遺伝子座に関する体細胞遺伝学的研究(平井)。カニクイザル腎細胞とマウスFM3A細胞との雑種細胞の染色体パネルを整備し、アカゲザルのRhLA遺伝子座を担う第2染色体に対応する染色体に注目し、分析に適当な9細胞クローンを選抜した。これらよりDNAを抽出し、HLAクラスII遺伝子プローブを用いてカニクイザルMHC領域がこの染色体上にあることを明らかにした。
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