研究分担者 |
黒倉 壽 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (50134507)
今林 博道 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (80136142)
室賀 清邦 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30011993)
中川 平介 広島大学, 生物生産学部, 教授 (00034471)
高橋 正雄 広島大学, 生物生産学部, 教授 (70034444)
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研究概要 |
本年度の研究成果の要点は以下の通りである. 1.ヒラメ仔稚魚の変態期までの単位体重当たりのO_2消費量の減少は急激で, 生理的特性に伴うものであり, 変態期以前の仔稚魚にはWinbergの法則は適用されない. 2.ヒラメ,マダイ仔稚魚は, 初期に脂質またはクリコーゲンを速やかに蓄積し, その後一定の割合で, タン白質・脂質・炭水化物等を体成分として蓄える. 3.マダイ維魚では全長30mm位から, 肝臓のほか腹腔内・筋肉にも脂質の蓄積が認められ, 50mm以上になるとこれらの蓄積脂質が増加し, そのトリグリセライドの消費により長期間の絶食に耐えるようになる. 4.保育池における放流用マダイ種苗(体長1〜4cm)は, 端脚類のAmpithoe lacertosaかいあし類のpseudodiaptcmus marinusなど, ベントス・プランクトンの卓越種を摂食する傾向がみられたが, それらの胃充満度は低かった. 5.マダイは孵化後42日目項から小脳および視蓋の発達が顕著となり, 低棲移行期に行動が俊敏になる知見と一致した. また, 47日目には脳の外形は成魚とほぼ同じになるが, 端脳は未発達であり, 底棲移行期直後の摂餌が未だ嗅覚によらず視覚のみによる非選択的行動であることを裏付けた. 6.蛍光抗体法の結果によると, 孵化後26日以降の仔魚では, 成魚の場合と同様, ホスホリパーゼA_2分泌細胞が腸管上皮に分布することが認められ, 目下, マダイ肝膵臓を用いて同酵素の精製を継続中である. 7.クロソイおよびトラフグの仔稚魚に投与されていたワムシには, 前者ではMoraxella,AcinetobacterおよびVibrioが, 後者ではPseudomonasとAcinetobacterが多く見いだされ, 前者の場合, ワムシをフラン剤で処理するとVibrioの割合が減少した. 8.クロソイ稚魚へのVibrio ordaliiの感染経路についてみた結果, 鼻腔内への菌の注入は自然発病魚と同様の症状を示したが, 体則の皮膚感染は成立しなかった. 9.マダイ稚魚の防禦条件反応を検し得た.
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