研究分担者 |
中村 成夫 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (50164299)
西本 詮 岡山大学, 医学部, 教授 (50032850)
渡辺 洋子 岡山大学, 医学部, 助手 (70135945)
平松 緑 岡山大学, 医学部, 助手 (70124790)
横井 功 岡山大学, 医学部, 助手 (80150366)
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研究概要 |
外傷性てんかんモデルとして、ラット左大脳皮質感覚運動領野に100mMFe【Cl_3】5μlを注入し、経時的に脳組織を摘出し、ホモゲナイズして、トラッピング剤(DMPO)を加え、・OH,・X(未同定ラジカルで,・OOH,・OORなどと推定される)などのラジカルを電子スピン共鳴装置(ESR)を用いて測定した。なお、ESRは日本電子株式会社JES-F1XGを昭和61年7月に購入した。また、上記試料について過酸化脂質(マロンアルデヒド)及び【Na^+】,【K^+】-ATPase及び【Mg^+】-ATPase活性を測定した。また、小数例ながら、難治性外傷性てんかん患者の摘出脳標品についても同様な測定を行なった。新たに得られた知見は下記のごとくである。 1.ラット大脳にFe【Cl_3】を注入すると5分後より・OHラジカル及び・Xラジカルの発生が観察された。現在その経過を詳細に調べている。 2.ラット大脳皮質にFe【Cl_3】を注入すると、30分後までにマロンジアルデヒドが著明に増加し、過酸化反応が促進されていることが明らかになった。 3.ラット大脳皮質にFe【Cl_3】を注入すると6時間後に【Na^+】,【K^+】-ATPase活性が、また3〜12時間後に【Mg^(2+)】-ATPase活性が著明に低下し、これらの活性低下により、脳浮腫が出現することが示唆された。 4.ラット大脳にFe【Cl_3】を注入するとドーパミン,ノルエピネフリン及びセロトニンの有意な減少と、それらの代謝産物であるDOPAC,ホモバニリン酸及び5-ヒドロキシインドール酢酸の有意な増加が認められ、これらモノアミンの代謝回転が促進していることが示唆された。 5.脳内にFe【Cl_3】を加えるとメチルグアニジン及びグアニジノ酢酸が過剰に生成されることがわかった。 6.外傷性てんかん患者摘出焦点組識中に・Xラジカルが著明に発生していることが確認された。
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